コラム」カテゴリーアーカイブ

Our Lucky Dragon – ベン・シャーン展

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 1/29までのベン・シャーン展@神奈川県近代美術館・葉山に行ってきた。思いのほか混んでいて、10分弱並んで入れた。

 シャーンひとりの展覧会で600点の水彩、油彩、ドローイング、写真、グラフィックが並ぶ。これだけシャーンの作品をまとめて見たのは初めてだと思う。 続きを読む

「供養」としての振り返り

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 勤務している病院が、電子カルテ管理になった。3ヶ月は紙カルテも来るのだが、それ以降は全面オンラインに移行になるので、サマリーを書くよう通達があった。春に今の病院も退職する予定なので、それもあって引き継ぎ用のサマリーを書いている。

 それでいやおうなく患者さんとの今までの過程を振り返っている。やりとりの蓄積をもう一度見なければならなくなっているのだが、自分のした診療を見返すのは結構きついものがある。自分の未熟さのために患者さんとのやりとりが不毛な傷つけ合いになってしまったり、停滞した時間が長引いたりしてしまった時もあった。
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ときめきに従うこと、従えない病。【書評】人生がときめく片づけの魔法(2)

(つづき)
 この本のタイトルは「人生がときめく片づけの魔法」となっている。こんまり先生が言うには、この方法で片づけを行うと、「人生が変わる」と言い切る。

 私の人生はまだ変わってはいないが、確かに何かを取捨選択する際の判断は早くなったような気がする。「捨てても大丈夫、なんとかなる」という感じは腑に落ちた。そうすると、無駄なものを買わなくなるし、整理する時間が減り、好きなものと過ごせるようになり、探し物に使う時間も減った。
 
 この本のラディカルな点は、こんまり先生の独特な「対モノ観」にあると思う。
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部屋の片づけは人生をかたちづくる。ー【書評】人生がときめく片づけの魔法(1)

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 昨年の私のベスト1。私がたぶん昨年最も影響を受け、実際に行動変容ができた本。
 私自身、ほとんどものごころついてから今までの30年以上、片づけができないことに悩んできた。特に働き始めてからは自分の収入でものが買えるようになったので、あふれかえる本やCD、服、グッズの類があちらこちらにランダムに散らばり、必要なものが普段は使わないものの中に埋もれて探すのに時間を費やすありさま。
 片づけ本も数知れず買った。片づけ界では有名な(笑)「ガラクタ捨てれば自分がみえる」「そうじ力」「捨てる!技術」など。
 しかし読んで一時的に片づけるようになっても、続かない。

 また、困ったことに、精神科の外来にも、「片づけられないが、自分はADHDではないか」という相談が舞い込むのである。今までは全員女性で、「片づけられない女たち」という本がことの発端である。
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Memento mori(4) – 死をおもうとき。

 10/5にApple 創業者Steve Jobsが亡くなった。56歳という年齢はいかにも早すぎる。文字通り、世界において誰も持たなかった想像力を持ち、また世界の中でその想像力を具現化していく力のある人だったと思う。

訃報を聞いたとき、ネットでよくあるデマかと思ってしまった。かなり進行した膵臓がんとは言われていたけど、これほどのセレブリティなら世界で最高の医療を受けているはずだし、不可能を可能にし続けるこの人なら死なないんじゃないかとどこかで思っていた。

でもJobsは亡くなった。AppleのCEOを降りてからわずか1ヶ月半、彼の想像力の中でまだ世界でなしえなかったことはいくつあったのだろう。

なんだか今年は、震災以来、急な訃報が続く気がするのは気のせいだろうか?
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