コラム」カテゴリーアーカイブ

Memento mori (3)-2 わたしが患者だったころ〜おとな編

(前回よりつづき)

大学入学時には志望分野を「内科か小児科」と書いたのに、卒業して入ったのはなぜか精神科だった。
 卒後4年目までは大きな挫折はなく過ごし、指導医もスタッフにも恵まれて、傲慢なくらいだったと思う。卒後4年目で行ったのは、アルコール依存症を専門にする病院だった。

 そこでもとてもいい勉強をさせてもらったのだが、いかんせん駆け出しの若い女性医師にはちょっときつい仕事だったと今でも思う。自分ではそれほどストレスがたまっているつもりはなかったのだが、ぴたりとおさまっていた喘息が27歳のときに再発した。
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Memento mori (1) – 休職、復職、転職、天職。

 精神的な不調で、長く仕事を休養することを余儀なくされる人たちがいる。数ヶ月から、場合によっては2−3年にわたり休養する場合がある。
  精神的な不調をきたした原因が主に仕事上のストレスであるとき、思い切ってその仕事をやめるかどうかの判断はとても難しい。やめてしまうと次の仕事がなかなか見つからないのではないか、という不安を、多くの人が持つ。長期休養した後ならなおさらではないか、と多くの人が思う。

 でも思いきって新しい道に行くことにすると、病気がよくなる、ということもある。
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官能的精神医学

精神科の診療は、すべての診療科の中で、からだに触れることが最も少ない科です。

診察用のベッドすら、置いていないところのほうが多いと思います。
でも一番大事な情報は、実は感覚的なものにあります。何科に限らず、患者さんは入ってくる様子や歩き方からきちんと観察するよう指導医からは言われます。私が今までの臨床経験で、患者さんの回復をもっともよく反映すると思っているのは、「顔色」と「表情」と「動き」です。
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