月別アーカイブ: 2010年6月

治療としての「体験」

デザイン・イノベーションという本を読みました。アップル黎明期、およびアップルストアのあの白(スノーホワイト)のコンセプトをプロデュースしたfrog designのハルトムット・エスリンガーが書いた本。
デザインに興味がなくても、今までに世界にないようなクリエーションを行いたい、と思う人は必読の一冊。デザインて、本当に理想を現実に具現化するためのゲートなんだと思いました。何か新しいもの、今までなかったコンセプトを世界にもたらしたかったら、色々な意味でのデザイナーをパートナーにお願いするべきだと思いました。

で、この中に頻繁に出てくる言葉が「カスタマーエクスペリエンス」。アップルの成功は、製品として性能の高さもですが、製品を使うことで得られる「体験」が革新的だったということによると。企業はこの「体験」をいかに産み出せるかということが、生き残りのための差別化をわけるという意見です。

確かに。アップルに触ったことがほとんどない私も、iphone, ipadはだいぶ欲しい・・・

これを病院に置き換えてみたらどうだろうかと。

病院に行ったら、美しい色彩の壁とファブリック、壁の絵がやわらかな調和の中で迎えてくれる。静かで、時々は音楽も聴けて、お医者さんが疲れた顔でなく、静かな笑顔で話を聞いてくれたら。看護師さんが、痛くない針で注射してくれて、いい香りのアロマオイルで笑顔でマッサージや湿布をしてくれたら。窓の外の森や農場を見て、自然とのつながりを本当に再び感じられたら。
そこでは、本当に苦しいのだと素直に言ってもよくて、その苦痛が和らげられるケアがなされたあとに、再び自分で歩けるための力を回復するためのサポートをしてくれる、本当にそう思える経験ができたら、どうでしょうか?
治療というより、そこでの体験が本当に、癒されるものであったら何かが変わるかもしれません。

実はそういうサービスを行っている病院は私の知る限りいくつかあります。内装がきれいで、アロマトリートメントが受けられたりするわけですが、それらが、うーん、ただのサービスに終わっている場合が多いんですよね。本当の治療「体験」になっていないぞ!と思うことしばしば。

何せ医療機関で一番重要なことは、スタッフ間の理解と理想の共有なのですが、それが一番難しい!

でも「体験」を提供する場を近い将来につくりたいなあと思っています。3年後くらいかしら。私一人では絶対に無理なので、未来に向けて今から広報広報。どんなものになるかわからないけど、従来なかったコラボができそうで、楽しみです。

デザインイノベーション デザイン戦略の次の一手

ハルトムット・エスリンガー / 翔泳社

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Newtonの時空特集が面白い

祝!はやぶさ帰還。でも苦労に苦労を重ね地球に戻ってきて、「はやぶさは流れ星になったよ・・・」というのはあまりにも日本的ですねー。「よたかの星」を思い出しました。

ところでNewton7月号の時空特集が面白い。
まったく素人の私でも楽しく読めました。

しかし、本当に時空は伸び縮みしてるんですねえ。速度を持って運動していると。もちろん光速に近くならないとほとんどまったく影響はないわけだけど、歩いたり走ったりしてるだけでも少しは時間が縮んだりしているのかと思うと、心がはずみます。
私たちはひとりひとりほんのわずかに違う時空にいるのかも。
そしたらいったい、どの時空で出会っているのか?

私がいつも時空のことを考えるときに思うのは「ボールが止まって見えた」というやつと「離人症」です。

野球選手とかがいう、あの「ボールが止まって見えた」とか、交通事故とかで「すごくゆっくりコマ送りのように感じた」のは、どういう意識状態なんでしょうかね?
楽しいときはすぐ過ぎますよね。苦しいことは長く続くように思える。でも、集中しているときは、時間がすぐ過ぎることも、ゆっくり過ぎることもある。

「離人症」は精神科の症状ですが、「自分の精神過程または身体から遊離して、あたかも自分が外部の傍観者であるかのように感じている持続的または反復的な体験」です。これのある人がみな口をそろえていうのは、「映画をみているようだ」というもので。
これも特殊な意識状態だと思うのですが、自分のいる時空が周囲とずれているように感じる、っていう印象をもってます。

私は子供のころからいつも周囲とずれてるような気がしてたけど、これは時空のずれだったのか。納得。(たぶん違う)。妄想はこれまでにして。

けなげなはやぶさもちょっと載ってます。おすすめ。

Newton (ニュートン) 2010年 07月号 [雑誌]

ニュートンプレス