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絶望と希望;Freedom is Kaori, in Beijing 2022

北京冬季オリンピック、なんだかんだで観てしまっている。東京オリンピックのときはコロナ状況もあって開催時にあんなに絶望的な気持ちになったのに、それを上回る感染状況になっても自国開催でないと純粋な観客になれてしまうのでいい気なものであるとも思う。でももともとオリンピックは冬のほうがずっと好きだし、連日フィギュアスケート、スノーボード、スキージャンプ、カーリングなど、熱さと冷静さがめまぐるしく行き交うコンペティションが繰り広げられていて、つい引き寄せられてしまう。

昨夜の女子フィギュアSP最終滑走の坂本花織の演技が素晴らしかった。普段使わない感情が余っているので、正直泣いた。

2アクセル、3ルッツ、着氷した足からもう次の流れに入っていく、途切れないスピード。当たり前ながら、改めてフィギュアスケートはスケーティングのスポーツなんだなと思い知る。チェンジフットのコンビネーションスピンを終えた後、氷上で止まって肘から両手を開いて、ふっと微笑んだその笑みで、後半の幕が開く。流れるようなスケーティングからの、3フリップ+3トウループのコンビネーションはスピードがあるのに止まって見えるような、そんなジャンプで、着氷からも流れは途切れない。そして圧巻のステップシークエンス。全身から、指先まで躍動感に溢れて、まるで野生動物のような生命感で跳ねて、最後のレイバックスピンに流れ込む。

4年前のアメリ、可憐な少女のような滑りから体のありようも変化して、生き生きとした女性の生命をスケートの中で表現しきった。
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