月別アーカイブ: 2010年7月

Listen to your own inner voice, as Steve said.

ここのところの暑さのせいか、眠れないのが板についてしまったので、ブログ更新。

自分の中の声を聴くというのはなかなか難しい作業であるなーと、最近あらためて思ったりします。
人の話を聴くことについては、以前より少しはまともにになってきたなあと、自分では思っているのですが(でもそれは本当にここ1-2か月の話で、前はひどかったです・・・反省)、自分のほうが案外難しい。
自分の中の声は、自分の色々な不安や勝手な願望やエゴが入ってきたりするので、「望み」ひとつとっても、不安やエゴや自己防衛が動機づけているものなのか、それともそれらと関係なく本質的なところから来るものなのか、それをやってみて痛い目にあってみないとなかなかわかりません。

人生は痛みや苦しみに取り組むことでバージョンアップしていくものではあるけれど、できたらなるべく痛くなくしたい、というのも本音ではあります。

で、自分の中の声がわからなくなったとき、痛みの意味がわからなくなったときに、そんなときにあらためて観てみる、Steve Jobsのスピーチ。2005年のStanford大学の卒業式でのものです。
翻訳はこのサイトから引用。たくさんコピペしてしまってすみません。
スティーブ・ジョブズの感動スピーチ(翻訳)
http://sago.livedoor.biz/archives/50251034.html

これから3つの話をします。たった3つです。と彼は始めます。

1.点と点をつなぐ(connecting the dots)

生まれたとき養子に出された話と、大学の中退を決断したときの話。
中退したあと、Steveはもう必修は出なくていい、好きなクラスにもぐりこむと決め、カリグラフィのクラスに入ります。一見無駄とも思えるこの選択が、あとでAppleの洗練されたフォントの開発につながったという話。

「もう一度言います。未来に先回りして点と点を繋げて見ることはできない、君たちにできるのは過去を振り返って繋げることだけなんだ。だからこそバラバラの点であっても将来それが何らかのかたちで必ず繋がっていくと信じなくてはならない。自分の根性、運命、人生、カルマ…何でもいい、とにかく信じること。点と点が自分の歩んでいく道の途上のどこかで必ずひとつに繋がっていく、そう信じることで君たちは確信を持って己の心の赴くまま生きていくことができる。結果、人と違う道を行くことになってもそれは同じ。信じることで全てのことは、間違いなく変わるんです。」

2.愛と喪失について(love and loss)

Steveは20歳から始めたAppleを30歳で一度クビになっています(利益を追求した経営陣がSteveのやり方は合理的でないと考えたからです。)
しかしこの5年の期間に彼はpixerを立ち上げ、自分のクリエイションをもう一度再開します。それはひとえに自分のやっていることが好きだったからできたのだと。

「その時は分からなかったのですが、やがてアップルをクビになったことは自分の人生最良の出来事だったのだ、ということが分かってきました。成功者であることの重み、それがビギナーであることの軽さに代わった。そして、あらゆる物事に対して前ほど自信も持てなくなった代わりに、自由になれたことで私はまた一つ、自分の人生で最もクリエイティブな時代の絶頂期に足を踏み出すことができたんですね。」

「私が挫けずにやってこれたのはただ一つ、自分のやっている仕事が好きだという、その気持ちがあったからです。皆さんも自分がやって好きなことを見つけなきゃいけない。それは仕事も恋愛も根本は同じで、君たちもこれから仕事が人生の大きなパートを占めていくだろうけど自分が本当に心の底から満足を得たいなら進む道はただ一つ、自分が素晴しいと信じる仕事をやる、それしかない。そして素晴らしい仕事をしたいと思うなら進むべき道はただ一つ、好きなことを仕事にすることなんですね。まだ見つかってないなら探し続ければいい。落ち着いてしまっちゃ駄目です。心の問題と一緒でそういうのは見つかるとすぐピンとくるものだし、素晴らしい恋愛と同じで年を重ねるごとにどんどんどんどん良くなっていく。だから探し続けること。落ち着いてしまってはいけない。」

3.死について(About death)

17歳のときから「もし今日が自分の人生最後の日だとしたら、今日やる予定のことを私は本当にやりたいだろうか?」という問いかけを毎日してきた、という話と、すい臓がんと診断されたときの話。

「自分が死と隣り合わせにあることを忘れずに思うこと。これは私がこれまで人生を左右する重大な選択を迫られた時には常に、決断を下す最も大きな手掛かりとなってくれました。何故なら、ありとあらゆる物事はほとんど全て…外部からの期待の全て、己のプライドの全て、屈辱や挫折に対する恐怖の全て…こういったものは我々が死んだ瞬間に全て、きれいサッパリ消え去っていく以外ないものだからです。そして後に残されるのは本当に大事なことだけ。自分もいつかは死ぬ。そのことを思い起こせば自分が何か失ってしまうんじゃないかという思考の落とし穴は回避できるし、これは私の知る限り最善の防御策です。」

「君たちはもう素っ裸なんです。自分の心の赴くまま生きてならない理由など、何一つない。」

この部分を彼はこう締めます。

「君たちの時間は限られている。だから自分以外の他の誰かの人生を生きて無駄にする暇なんかない。ドグマという罠に、絡め取られてはいけない。それは他の人たちの考え方が生んだ結果とともに生きていくということだからね。その他大勢の意見の雑音に自分の内なる声、心、直感を掻き消されないことです。自分の内なる声、心、直感というのは、どうしたわけか君が本当になりたいことが何か、もうとっくの昔に知っているんだ。だからそれ以外のことは全て、二の次でいい。」

最後に彼が締めくくった言葉。

Stay hungry, stay foolish.

彼のスピーチは失うこと、捨てることがどれほど次の豊饒さを生むか、を示しています。でもそこでくじけないために、自分のやっていることが本当に好きである必要があると。
そして一見関係ない、無駄に思えることでもつなげていくことでそれが次の創造につながっていくということを示しています。この一見無関係なことをつなげること、挫折を次の創造に変えていく力が、「自分」とか「自己」の真のはたらきなんじゃないかと思います。そのためには自分の中のinner voiceに耳を傾け続けること。ドグマからはfoolishに見え続けるとしても。

以下、翻訳つきyoutube。

原文はこちら

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モテキに見る、確かさへの不安。

「モテキ」全4巻読了。
16日からテレ東でドラマも始まりました~。森山未来がナチュラルボーン藤本幸世ですw

漫画は、藤本幸世(29歳・男子・派遣社員。非モテ)にいきなり人生初の「モテ期」が訪れ、3人+1の女子たちとの間で奮闘する話。
藤本は厳密には非モテであっても非コミュではないので(現に色々なとこから遊びの声がかかる)私としては、ほんとうに「非モテ・非コミュ」の人の恋愛なり非コミュ脱出の過程を読んでみたい、とは思うのですが(そういう意味では電車男のほうが多少のリアリティはあったかな)、それでも藤本の「痛い」自己意識は、けっこう現代的なテーマな気がします。

しかし、モテキ、なかなか深いです。
出てくる女子がまず「肉食積極系(亜紀)」「草食さっぱり系(いつか)」「小悪魔振り回し系(夏樹)」「ヤンキー面倒見系(尚子)」タイプが網羅されてる。こういう女子、いるよね~!と読んでて笑えます。

また、小さい言葉から誤解と妄想が広がっていくあたりとかもありがちな心理。
全部俺が悪いんだあー、とか。「え・・・こん位で鎖国すんの?」(by亜紀)
漫画家のオム先生から、亜紀にプロポーズした、と聞いて(本当はしていない)、本人に確かめもせずに「幸せにな!」といい顔して逃げてしまうあたりとか。

でもって深読み。この漫画の裏テーマは、「確かさ」と「関係性」、「自己意識」だと思いました。

「本当に俺のことが好きなの?」「私が好きなの?」と登場人物は連呼します。
でもそう叫ぶ彼らも、「じゃああなたは私が好きなの?」と返されると「うっ」となる。自分の中でも相手を好きかどうかはっきりしないんですよね。自分の中ではっきりしないから相手に明確な気持ちを示してほしい。「投影」ですな。
「あなたが私を本当に好きなら、わたしもあなたを好きになります」という。

でもそもそも「本当にあなたが好き」っていう事態が存在するのかどうか?
存在するとしたら、それはどういう状態なのか?というのは考えてみると面白いです。
そして、それは恋愛が始まったばかりの状態でありうるのかどうか?

モテキの登場人物たちは、「この関係が確かなものなら、私は踏み出そう」と言います。それが確かかどうか知ろうとして、試行錯誤します(その結果「やっぱ無理」だったりする。笑)
痛いほど確かなものを、求めている。その不安もよくわかる。

でも、そもそも「確かな関係から始まる関係」というもの自体が存在するのかどうか。
踏み出してみなければ、どんなものになるのかわからないのではないかしら。そこが恋愛や人間関係や、縁の面白いところであって、もちろん大変なところでもある。

「関係性」というのは、ほんとうは刻一刻動いています。
もしいつも固定した関係というのがあったらそれは病んでいる、と以前、講義でいわれたことがあるけど、本当にそうだと思う。(「わたし作る人、僕食べる人」か。例が古。)
助けられる人がまた助ける側に回ったり、助ける側だった人も、あるときには助けてもらったりする。それが自由に入れ替われるとき、それは健全な関係といえるのかも。

「自分自身」もずっと同じではないです。「本当に俺が好きなの?!」と言っても、その俺自体が日々変わっていっている。
自分自身も常に変わっていっているし、他人もまた変わっていっている。その出会いの中でまた何かが変わっていく。人に会うことで、自分自身の中から知らなかった部分があらわれてきたりもする。化学反応ですよね。出会わなければ、ぶつかってみなければ、変容は起きない。

「本当の私」なんて、4巻で夏樹が言うように、ないのかもしれない。みんなの頭の中に違う「私」がいて、それは100人いれば100通りで、それぞれ正しいも間違ってるもない。違う印象で思われても、それはその人が思ったことであって「責任とれないわ」by 夏樹。
だいたい恋愛は、幻想から始まることが多いわけで、だから恋愛の蜜月は長くサバイバルしないことが多いけれど、幻想がなければそもそも関係性が始まらないともいえる。

誤解や幻想から関係が始まっても、相手のこころを探りながら、離れたり近づいてみたり、理解しようとと必死になったり、うまくいったりいかなかったりしながら、自分も出会う人も変化して発展していく、それが因や縁ていうものなのかな、と思います。

ひとは、「変わらない」確かさを求めます。それもとても重要だと思います。
でも「確かじゃないと踏み出せない」という不安を、最近至るところで見ます。銀行だって「絶対返せるんですね」という場合にしか貸してくれない。
診察室でも同じことが起こっていて、「この薬は確実に安全で効くんですね?それなら飲みます」というようなことをおっしゃる方が時々います。(もちろん苦しい中で初めて飲むお薬であれば、そういう気持ちを持って当然と思います。)
ただ「正直、飲んでみないとわかりません。もし効かないとか、かえって具合が悪ければやめてかまいませんよ」と言うと、「それが自分でわかるか、わからないから不安なんです」と言われたりします。
「正しい判断」ができるか不安なんですよね。意外と自分自身のことが一番、わからないものですし。

「確かさ」というのは、ほんとうは人に保証してもらうものじゃなくて、たぶん自分の中から出てくるものなんだと思います。「変わらない」確かさもあれば、「いつでも変われる」柔軟な確かさもある。その両方を自分自身の中につくっていくことが、人生での勉強なのかもね。私自身もまだまだです。

お、話が広がりすぎてしまいました。
作者久保ミツロウさんのラストのコメント、「私は幸世が誰かに必要とされなくても他人と関わっていく力を持ち始める事が大事だと思うので、その姿まで描けてよかったです」がいいなあと思いました。

個人的には、幸世が「ああああ消えてしまいたい死にたい死にたい死にたい死にたい・・・」と連呼したあと、「よし、死にたいも10回言えば4回あたりから言葉が形骸化するな」というのがツボでした~。これ、実際にアクセプタンス&コミットメントセラピー(ACT)というのにあるメソッドです。(熊野宏昭先生の本に出てきた)

というわけでモテキ、なかなかおすすめです(ちょっと痛めだけど)。

モテキ (1) (イブニングKC)

久保 ミツロウ / 講談社

ムハマド・ユヌス語録:ムハマド・ユヌス氏fromグラミン銀行講演会(2)

前エントリから続き。

ユヌス氏はとても面白い人でした。
講演会の壇上には大きなフラワーアレンジメントがあったのですが、「こんな美しい花があると、みな私じゃなくてこちらをみるでしょうね。ここにひとつの”競争 competition”があるわけです。そして私は確実に負けますね!」のつかみ。講演中も終始にこやかに語りかけ、ジョークもまじえます。熱が伝わってくる感じ。

それで、言葉がキャッチ―!この方はコピーライターとしても相当成功したと思われます。
以下ユヌス語録。

「医師がいけないなら、テクノロジーやスキルや情報が代わりに彼らの家にいけばよいのです」
「職のない若者には、自分を”job seeker(職探し人)”ではなく”job giver(仕事やります人)”だと言いなさい、と言っています」
「グラミンの仕事は、いつもongoing challenge(前向きなチャレンジ)をするということです」
「新しいことをやろうとすれば、必ず拒否と緊張(tension)がおきます。いつも同じです。でも、忍耐(patience)をもって説明するのです」
「(女性に貸そうとしたところ、女性側から、お金を貸されても使い方がわからない、困る、と言われて)これは彼女たち自身の声じゃない、歴史が言わせている声なのです(not the voices of them, but the voices of history)」
「グラミンの業績にパテントはありません。すべてオープンです」

私が個人的にしびれたのは、
「ビジネスマンは、どれだけたくさんのお金を稼いだかで成功が評価されます。ソーシャルビジネスマンは、どれだけたくさんの問題を解いたかで成功が評価されます」

です。そうか、まずお金を稼がないとできないと思ってたけど、問題を解決すれば人(+お金)はついてくるかもね。

私がユヌスさんからソーシャルビジネスに関して学んだこと(以下は私のまとめなのでユヌス語録ではありません)。

(1)インフラがなくても、いきなり最新テクをやっちゃえ!

電気も水道もない村に携帯電話?という発想を逆転。むしろ携帯電話で人と情報をつなげてしまったことで、インフラを呼び寄せる。確かにとりあえず発電機と中継塔があればいいですもんね。インフラ整備はお金がかかるから、必要だけどあとでもいい。

(2)まず小さくはじめよう。あとは繰り返して大きくしよう。

当たり前ですが、その通り。らせん上昇ですね。

(3)新しいことは必ず拒否や緊張を生む。忍耐をもって説明しよう!

これも当たり前だけど、そこで挫折せず、説明説明。

(4)普及のために、最低限をカバーするコストでやってみよう。

ソーシャルビジネスは最低限のコストで行うべし。普及が目的だから。でも最低限のコストはカバーすべし。施しではなく、人々の自立が目的だから。

(5)問題を解決すれば、ブランド化する。あとは、それをまわすだけのお金はついてくるよ。

問題を解決していくと、力ができてある意味「ブランド」になる。それに貢献したい人たちがついてくるから、お金もなんとかなる。

・・・ま、私の解釈が正しいかはともかく、ほんとに力をくれたユヌスさんに感謝です~!参考にします!
活躍につれ、色々と批判も出てきているグラミングループですが、私には彼の価値観は一貫して「問題解決」であり、揺らがないであろうと感じられました。暖かくてハッピーな講演でした。
ウォームなハートとクールな頭、両方をはたらかせてあげなければね。

ムハマド・ユヌス氏fromグラミン銀行講演会(1)

昨晩、グラミン銀行総裁、ムハマド・ユヌス氏の講演会@国立国際医療センターに行ってまいりました~。
2006年のノーベル平和賞受賞者。

以下メモ。(私の聞き間違いが多く含まれているかも。行った方ご指摘を)
グラミン銀行@バングラデシュといえば貧しい人に小口の融資(数ドル)をするマイクロクレジットで有名なわけですが、融資先は今97%が女性なんだそうです。今800万人が借りているそう。
初め男性に貸していた。男性に貸さないわけじゃないが、女性はそれまでお金をまったく借りることができなかったので、女性をメインにした。半々になるのに6年かかった。
女性に貸すと子どもたちの衛生や成長のためにそれが使われるので、男性に貸すより多くの改善ができるそうです(「男は全部自分のために使っちゃうのですよ」とユヌス氏)。ので、男性に貸す場合は妻に渡すのが前提らしい。
グラミン銀行は、「今までの銀行は、お金がある人に貸す。それはおかしい。グラミンは、最初の1ドルが借りられない人に貸す」という考えのもと、ユヌス氏により1974年に創設されました。
グラミン銀行は借り手により所有されているという考えで、「1.5ドルを借りればグラミンの一オーナーです」とのこと。

貧しい人は踏み倒すと思われていた融資ですが、女性に貸すこと、グループに融資することを前提にしたところちゃんと返済されてくる。
バングラデシュでうまくいったので、マレーシアでもやってみた。うまくいったが、「イスラムだからだ」と言われた。そこでフィリピンにいったが、そこでもうまくいった。今度は「アジアだからだろう」と言われた。そこでアメリカのアーカンソー(けっこう貧しいらしい)から招かれて、そこでもやったらうまくいっている。今はワシントン、ニューヨークでも始めました、と笑うユヌス氏。「批判者はいつでも理由や説明を探しているのですよ」。

医療に関しては素人ですが、と前置きしたうえで、今までやった医療関係の仕事。

1)鳥目プロジェクト
貧しい農村の子は、夜に目が見えない。ビタミンAの欠乏からである。専門家はビタミンAを与えるか、緑黄色野菜を摂取させる必要があるとのこと。そこで、緑黄色野菜の栽培をを選んだ。村人の自立のためになるからである。
はじめに1ペニーで種のセットを売った。コストをカバーする最低の額である。それで村人は野菜を作り始めた。それはうまくいき、バングラデシュ中に広がった。子どもたちの目もよくなった。今度は種が足りなくなったが、村人が作った野菜から次の種がとれるようになり、今は彼らから種を買っている。

2)衛生プログラム
バングラデシュでは衛生環境の悪さからの寄生虫と最近感染症が問題。
寄生虫は、トイレがなくそこらへんで排せつをすることが一つの要因。なので、「グラミンで借りたい人は、村でトイレの穴を掘ること、を規約にしました」(^^)
また、飲み水が悪いこと、そこからくるコレラも大きな問題。コレラでは脱水が起こる。ので、下痢のときの脱水防止の飲料のつくりかた(塩とか重曹とかかな)をグラミン銀行の手帳の裏に絵で示した(字が読めない人が多いから)。
飲み水の改善や、子どもたちの栄養改善のために週2カップのヨーグルトを配給、ということもしているとのこと。

3)医療保険
最低限のコストを計算して、年に2.5ドルで家族全員をカバーする医療保険を創設した。一部の村から、クリニックを作って試行してみた。
ただこれはうまくいってなくて、医師に高い給料を払ったが、数カ月するとみんなやめてしまう。医師はあまり村にはいたくないようです。そこでユヌス氏の発想転換。「医師がいなくてもすむ医療システムをつくればいいのではないか」
グラミンと言えばグラミンフォンでもあります。1997年電気のインフラも不十分な最貧国バングラデシュでいきなりスタートした携帯電話会社グラミンフォンは、今では全土で5700万人のユーザーがいるとのこと。
これはまだ企画の段階のようですが、iPhoneやiPadがあるじゃないか!と総裁。「私たちの仕事は貧しい人にどこかに来させるのではなく、彼らのいるところにスキルを届けることです。医師がいかないなら、技術やスキルやテクノロジーが彼らのもとにいけばいい」と。遠隔での診療システムを検討中とのことでした。

4)看護師養成
「バングラデシュでは医師3人につき看護師が1人しかいません。普通逆でしょ?」とユヌス氏。足りないんだそうです。それで、貧しい農村の女の子たちを教育して、看護師にするプログラムをやっているんだそうです。年に100人ペースだそうですが、増やしていきたいとのことでした。
海外でも賛同する大学があらわれて、今ではグラスゴーカレドニア大学(UK), マクギル大学(カナダ)、エミリー大学、ペンシルバニア大学など10つの学校で彼女たちを受け入れているとのこと。
「貧しい農村で、うちの娘が看護師になって、海外で働いているんだ、というのはすごく励ましになるのですよ。ほかの少女たちも、私もやれるかも、と思って憧れたりするのです。それが力になっていく」とユヌス氏。

5)企業との連携
鉤虫が問題なので、今アディダスと貧しい人でも買える安い靴(1足1ドル程度)を開発中とのこと。履き心地をためしてください!とユヌス氏。ドイツの会社とカヤの開発もしている。
今回、ユニクロとも安い冬用の服を開発するらしい。今日プレスに出ますよ、とのこと。冬の寒さで人々が死なないように。(今回の来日の理由はユニクロとのコラボかも?もう出てました↓)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2010071402000063.html

つづきますよ~。

内発的動機は引き出せるのか?

前エントリからの関連。

他の人の「内発的動機」、つまり「やる気」を引き出すことは可能なのだろうか、という問いをずっと考えていたのですが、一応自分なりのまとめ。

短くいうと、

「引き出す」ことは不可能。
ただし、「おぜん立て」は可能。

たぶん、種と同じと考えてみればよいかと。
種が芽を出すタイミングは、種と宇宙の力が決める。まいた人ではない。種をおだてたり、無理やりせきたてたりしても芽を出させることはできない。
ただ、まいた人は、水をやったり、温度を整えたりして元気な芽が育つよう、おぜんだてをすることができる。
その結果、その果実を皆が受け取ることはできる。

近年いろいろな「他人のモチベーションを動かす法」みたいな本やメソッドが出ているわけですが、どうも今一つ?な気がして。
かといって、「じゃ、芽を出すのは君の仕事だから。俺にできること特にないから」と放置するのではなくて、「耕しておくから、いいと思うタイミングで芽を出してね」と「おぜん立て」に徹して待つ、ということはできるかも。

ま、この適切なおぜん立てが難しいところで。だいたい、水やりすぎたり、変な薬や肥料を変なタイミングでまいたりしてだめにしちゃいがちなんですよね。
やることやって、待つのってむずかしい。「人事を尽くして天命を待つ」っていい言葉があるんですけどね。人事を尽くさないで天命を待っちゃうか、人事でどれをやるかわからなくなっちゃったり、天命の領域までやりたがっちゃうか、になったり。

他の人よりある意味もっと難しいのは、自分自身かもしれません。
これも自分で動いて「おぜん立て」するしかないんでしょうね~。生まれた環境は選べないのは同じでも、植物とちがって人間は動けるわけだしね。
とりあえずやってみて失敗しながら修正、でしょうかね。

Alcoholics Anonymus のニーバーのお祈りから。

God, grant me the serenity
to accept the things I cannot change,
the courage to change the things I can,
and the wisdom to know the difference. 

神さま、私にお与えください
自分に変えられないものを受け入れる落ち着きを
変えられるものは変えていく勇気を
そして、二つのものを見分けるかしこさを 

(色々バージョンはあるけど、この訳がけっこう語呂的にも好きです)

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