5年ほど前に、神奈川の作業所から、境界性人格障害(Borderline Personality Disorder ; BPD)の人たち向けの講義をしてくださいと頼まれたことがある。普段はその作業所は摂食障害の人たちが通っているが、BPDと摂食障害の人たち、その家族が主な聴衆で、その中でもBPDの人に向けた講義をお願いします、という依頼だった。
その時に私が選んだ講義のテーマはなぜか「自分を愛そう!BPD」というタイトルだった。BPDの「わがまま」にも見える行動は自己愛が強いせいと思われることが多いが、私は自己愛が極端に低いせいだと思っている。健全な自己愛を持っていれば、人の関心を惹き続けたり、「私を愛して!」とケアを求め続けたり、見捨てられたと感じて自傷する必要もない。他人の反応は淡々と受け流して、黙々と自分のしたいことをしていればいいし、それができるはずだ。