1年前の2011年3月11日の午後2時46分。
私は中央区の高層階にある診療所で診療していた。受診した人と話していたときに、大きな揺れが来た。初めはすぐおさまると思い、面接を続けていたが、そのうちに大きなキャビネットが大きく揺らぎだした。揺れはとても長くて、これはだいぶ大きい、と思った。その日、たまたまその人の母親が来ており、廊下で待っていた。その人は「母の様子を見てきます」と部屋を飛び出した。
私は小学校で教わった通り、机の下に入った。3つ並んだ背の高いキャビネットは倒れそうなくらい揺れた。こういうとき、幼い頃に教えられたことは案外習性に刻まれているものだなと思った。机の下にいればなんとなく安心な気がした。