ロックで読み解く貧困シリーズ、最終回です。実はこの最終回が書きたくて始めたのだった。最終回は、労働にまつわる貧困です。そして大好きなXTCの曲です。
細々と、一番長く続けている仕事がある。飽きっぽく腰の据わらない自分が、10年ほど続けている。とある自治体の知的障害者作業所の精神科相談である。
この仕事は、ほんとに若くて未熟なときに始めた。利用者の人たちは、そもそも口数が少ない人が多い上、多くない語彙の中からわずか数語に、言葉にならない思いを乗せてコミュニケーションをする。初めて会う人には緊張して、ますます言葉が減る。なので、どういう言葉を使うかとか、何をどういう風に尋ねるか、とか試行錯誤の上、内面よりも生活のことに絞ったほうが話しやすいという知見を得た。気分はどうかよりも、ご飯を何時に食べたかのほうが答えやすいし、生活と行動を丹念に聞き取ればそこに何らかの思いや意図が見えてくる。
続きを読む