前エントリから続き。
ユヌス氏はとても面白い人でした。
講演会の壇上には大きなフラワーアレンジメントがあったのですが、「こんな美しい花があると、みな私じゃなくてこちらをみるでしょうね。ここにひとつの”競争 competition”があるわけです。そして私は確実に負けますね!」のつかみ。講演中も終始にこやかに語りかけ、ジョークもまじえます。熱が伝わってくる感じ。
それで、言葉がキャッチ―!この方はコピーライターとしても相当成功したと思われます。
以下ユヌス語録。
「医師がいけないなら、テクノロジーやスキルや情報が代わりに彼らの家にいけばよいのです」
「職のない若者には、自分を”job seeker(職探し人)”ではなく”job giver(仕事やります人)”だと言いなさい、と言っています」
「グラミンの仕事は、いつもongoing challenge(前向きなチャレンジ)をするということです」
「新しいことをやろうとすれば、必ず拒否と緊張(tension)がおきます。いつも同じです。でも、忍耐(patience)をもって説明するのです」
「(女性に貸そうとしたところ、女性側から、お金を貸されても使い方がわからない、困る、と言われて)これは彼女たち自身の声じゃない、歴史が言わせている声なのです(not the voices of them, but the voices of history)」
「グラミンの業績にパテントはありません。すべてオープンです」
私が個人的にしびれたのは、
「ビジネスマンは、どれだけたくさんのお金を稼いだかで成功が評価されます。ソーシャルビジネスマンは、どれだけたくさんの問題を解いたかで成功が評価されます」
です。そうか、まずお金を稼がないとできないと思ってたけど、問題を解決すれば人(+お金)はついてくるかもね。
私がユヌスさんからソーシャルビジネスに関して学んだこと(以下は私のまとめなのでユヌス語録ではありません)。
(1)インフラがなくても、いきなり最新テクをやっちゃえ!
電気も水道もない村に携帯電話?という発想を逆転。むしろ携帯電話で人と情報をつなげてしまったことで、インフラを呼び寄せる。確かにとりあえず発電機と中継塔があればいいですもんね。インフラ整備はお金がかかるから、必要だけどあとでもいい。
(2)まず小さくはじめよう。あとは繰り返して大きくしよう。
当たり前ですが、その通り。らせん上昇ですね。
(3)新しいことは必ず拒否や緊張を生む。忍耐をもって説明しよう!
これも当たり前だけど、そこで挫折せず、説明説明。
(4)普及のために、最低限をカバーするコストでやってみよう。
ソーシャルビジネスは最低限のコストで行うべし。普及が目的だから。でも最低限のコストはカバーすべし。施しではなく、人々の自立が目的だから。
(5)問題を解決すれば、ブランド化する。あとは、それをまわすだけのお金はついてくるよ。
問題を解決していくと、力ができてある意味「ブランド」になる。それに貢献したい人たちがついてくるから、お金もなんとかなる。
・・・ま、私の解釈が正しいかはともかく、ほんとに力をくれたユヌスさんに感謝です~!参考にします!
活躍につれ、色々と批判も出てきているグラミングループですが、私には彼の価値観は一貫して「問題解決」であり、揺らがないであろうと感じられました。暖かくてハッピーな講演でした。
ウォームなハートとクールな頭、両方をはたらかせてあげなければね。