ムハマド・ユヌス氏fromグラミン銀行講演会(1)

昨晩、グラミン銀行総裁、ムハマド・ユヌス氏の講演会@国立国際医療センターに行ってまいりました~。
2006年のノーベル平和賞受賞者。

以下メモ。(私の聞き間違いが多く含まれているかも。行った方ご指摘を)
グラミン銀行@バングラデシュといえば貧しい人に小口の融資(数ドル)をするマイクロクレジットで有名なわけですが、融資先は今97%が女性なんだそうです。今800万人が借りているそう。
初め男性に貸していた。男性に貸さないわけじゃないが、女性はそれまでお金をまったく借りることができなかったので、女性をメインにした。半々になるのに6年かかった。
女性に貸すと子どもたちの衛生や成長のためにそれが使われるので、男性に貸すより多くの改善ができるそうです(「男は全部自分のために使っちゃうのですよ」とユヌス氏)。ので、男性に貸す場合は妻に渡すのが前提らしい。
グラミン銀行は、「今までの銀行は、お金がある人に貸す。それはおかしい。グラミンは、最初の1ドルが借りられない人に貸す」という考えのもと、ユヌス氏により1974年に創設されました。
グラミン銀行は借り手により所有されているという考えで、「1.5ドルを借りればグラミンの一オーナーです」とのこと。

貧しい人は踏み倒すと思われていた融資ですが、女性に貸すこと、グループに融資することを前提にしたところちゃんと返済されてくる。
バングラデシュでうまくいったので、マレーシアでもやってみた。うまくいったが、「イスラムだからだ」と言われた。そこでフィリピンにいったが、そこでもうまくいった。今度は「アジアだからだろう」と言われた。そこでアメリカのアーカンソー(けっこう貧しいらしい)から招かれて、そこでもやったらうまくいっている。今はワシントン、ニューヨークでも始めました、と笑うユヌス氏。「批判者はいつでも理由や説明を探しているのですよ」。

医療に関しては素人ですが、と前置きしたうえで、今までやった医療関係の仕事。

1)鳥目プロジェクト
貧しい農村の子は、夜に目が見えない。ビタミンAの欠乏からである。専門家はビタミンAを与えるか、緑黄色野菜を摂取させる必要があるとのこと。そこで、緑黄色野菜の栽培をを選んだ。村人の自立のためになるからである。
はじめに1ペニーで種のセットを売った。コストをカバーする最低の額である。それで村人は野菜を作り始めた。それはうまくいき、バングラデシュ中に広がった。子どもたちの目もよくなった。今度は種が足りなくなったが、村人が作った野菜から次の種がとれるようになり、今は彼らから種を買っている。

2)衛生プログラム
バングラデシュでは衛生環境の悪さからの寄生虫と最近感染症が問題。
寄生虫は、トイレがなくそこらへんで排せつをすることが一つの要因。なので、「グラミンで借りたい人は、村でトイレの穴を掘ること、を規約にしました」(^^)
また、飲み水が悪いこと、そこからくるコレラも大きな問題。コレラでは脱水が起こる。ので、下痢のときの脱水防止の飲料のつくりかた(塩とか重曹とかかな)をグラミン銀行の手帳の裏に絵で示した(字が読めない人が多いから)。
飲み水の改善や、子どもたちの栄養改善のために週2カップのヨーグルトを配給、ということもしているとのこと。

3)医療保険
最低限のコストを計算して、年に2.5ドルで家族全員をカバーする医療保険を創設した。一部の村から、クリニックを作って試行してみた。
ただこれはうまくいってなくて、医師に高い給料を払ったが、数カ月するとみんなやめてしまう。医師はあまり村にはいたくないようです。そこでユヌス氏の発想転換。「医師がいなくてもすむ医療システムをつくればいいのではないか」
グラミンと言えばグラミンフォンでもあります。1997年電気のインフラも不十分な最貧国バングラデシュでいきなりスタートした携帯電話会社グラミンフォンは、今では全土で5700万人のユーザーがいるとのこと。
これはまだ企画の段階のようですが、iPhoneやiPadがあるじゃないか!と総裁。「私たちの仕事は貧しい人にどこかに来させるのではなく、彼らのいるところにスキルを届けることです。医師がいかないなら、技術やスキルやテクノロジーが彼らのもとにいけばいい」と。遠隔での診療システムを検討中とのことでした。

4)看護師養成
「バングラデシュでは医師3人につき看護師が1人しかいません。普通逆でしょ?」とユヌス氏。足りないんだそうです。それで、貧しい農村の女の子たちを教育して、看護師にするプログラムをやっているんだそうです。年に100人ペースだそうですが、増やしていきたいとのことでした。
海外でも賛同する大学があらわれて、今ではグラスゴーカレドニア大学(UK), マクギル大学(カナダ)、エミリー大学、ペンシルバニア大学など10つの学校で彼女たちを受け入れているとのこと。
「貧しい農村で、うちの娘が看護師になって、海外で働いているんだ、というのはすごく励ましになるのですよ。ほかの少女たちも、私もやれるかも、と思って憧れたりするのです。それが力になっていく」とユヌス氏。

5)企業との連携
鉤虫が問題なので、今アディダスと貧しい人でも買える安い靴(1足1ドル程度)を開発中とのこと。履き心地をためしてください!とユヌス氏。ドイツの会社とカヤの開発もしている。
今回、ユニクロとも安い冬用の服を開発するらしい。今日プレスに出ますよ、とのこと。冬の寒さで人々が死なないように。(今回の来日の理由はユニクロとのコラボかも?もう出てました↓)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2010071402000063.html

つづきますよ~。