投稿者「Mahiru」のアーカイブ

病と創造性の間ー草間彌生展

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草間彌生展「永遠の永遠の永遠 Eternity of Eternal Eternity」を観てきた。

草間彌生を初めてみたのは1993年に世田谷美術館でやっていた「アウトサイダー・アート展」で、 大学1年のときだった。
系統だった美術の教育を受けていない、あるいは精神疾患を持った人の作品展で、ほとんどが海外作家だったけれど、数少ない日本の作家として紹介されていた。シュヴァルの理想宮も、ここで初めて複製を観た。
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私の3.11

1年前の2011年3月11日の午後2時46分。
私は中央区の高層階にある診療所で診療していた。受診した人と話していたときに、大きな揺れが来た。初めはすぐおさまると思い、面接を続けていたが、そのうちに大きなキャビネットが大きく揺らぎだした。揺れはとても長くて、これはだいぶ大きい、と思った。その日、たまたまその人の母親が来ており、廊下で待っていた。その人は「母の様子を見てきます」と部屋を飛び出した。
私は小学校で教わった通り、机の下に入った。3つ並んだ背の高いキャビネットは倒れそうなくらい揺れた。こういうとき、幼い頃に教えられたことは案外習性に刻まれているものだなと思った。机の下にいればなんとなく安心な気がした。

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Our Lucky Dragon – ベン・シャーン展

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 1/29までのベン・シャーン展@神奈川県近代美術館・葉山に行ってきた。思いのほか混んでいて、10分弱並んで入れた。

 シャーンひとりの展覧会で600点の水彩、油彩、ドローイング、写真、グラフィックが並ぶ。これだけシャーンの作品をまとめて見たのは初めてだと思う。 続きを読む

「供養」としての振り返り

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 勤務している病院が、電子カルテ管理になった。3ヶ月は紙カルテも来るのだが、それ以降は全面オンラインに移行になるので、サマリーを書くよう通達があった。春に今の病院も退職する予定なので、それもあって引き継ぎ用のサマリーを書いている。

 それでいやおうなく患者さんとの今までの過程を振り返っている。やりとりの蓄積をもう一度見なければならなくなっているのだが、自分のした診療を見返すのは結構きついものがある。自分の未熟さのために患者さんとのやりとりが不毛な傷つけ合いになってしまったり、停滞した時間が長引いたりしてしまった時もあった。
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ときめきに従うこと、従えない病。【書評】人生がときめく片づけの魔法(2)

(つづき)
 この本のタイトルは「人生がときめく片づけの魔法」となっている。こんまり先生が言うには、この方法で片づけを行うと、「人生が変わる」と言い切る。

 私の人生はまだ変わってはいないが、確かに何かを取捨選択する際の判断は早くなったような気がする。「捨てても大丈夫、なんとかなる」という感じは腑に落ちた。そうすると、無駄なものを買わなくなるし、整理する時間が減り、好きなものと過ごせるようになり、探し物に使う時間も減った。
 
 この本のラディカルな点は、こんまり先生の独特な「対モノ観」にあると思う。
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