Serendipityという言葉がある。セレンディップの3人の王子の話をもとにした「偶然の幸運」みたいな意味で使われているけれども、本当はただの偶然だけでも幸運だけでもない。実は幸運を呼び込むための積極的な姿勢でもあり技術でもある。
そして、Serendipityの本質は、「間」にあると思う。
セレンディップの3人の王子は、実は自分から望んで旅に出たわけではない。父に言われた運命をひとまず受け入れ、未知の経験が自分たちを高めてくれると信じて、彼方の異国へと出発した。
賢い王子たちは、わき目もふらずに目的に向かうのではなくて、一見関係なさそうな出来事でもよく観察する。それでかえって危険な目にもあったりするが、自分たちが観たもの、考えたことを信じて、覚悟を決めて立ち向かう。
王子たちは困難な問題を、観察と思考と機転で次々に切り抜けるけれども、ひとつを乗り越えると次の問題が瞬く間にやってくる。しかし、彼らは不服を言うことなく、ただ受け入れて、問題に取り組む。そうすると、問題はなぜか、次の幸運の扉を開ける鍵になっていく。
人生では否応なく、次々に何かが起こる。望んでも望まなくても、出来事はひっきりなしにやってきて、私たちはその度喜んだり嘆いたりする。
でもSerendipityは実は、「間」で起こると思う。出来事と出来事の間。望むことと望まないこととの「間」。人と人との「間」。自分にボールが回ってきたら、ひとまず受け取って、「間」の、判断しない空間に投げ込んでみる。そうすると一見不幸に見えた出来事もそこで生まれ変わって、次の幸運を運んできてくれる。
茂木健一郎氏はSerendipityのサイクルを「行動action」「気づき awareness」「受容 acceptance」の3つに分けた。しかし、実は一番難しいのがこの「受容」のステップなんじゃないかと思う。
でもたぶん、判断せずに受け入れた瞬間に、ものごとの質は変わる。望まないできごとが種になって、思いがけない幸運の芽が芽生える。それは一見遅いように見えて意外な早道を示してくれたり、無駄なように見えて実りを一番もたらしてくれたりする。だから視野も、心も広くもっておくと、いいことが多くなるんじゃないかと思う。
May serendipity bless on your way ☆
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こんにちは。何かが起こった時は、感情的になったり、慌てたりするけれど、
落ち着いて違う面から考えてみることができれば、また、違った道が開けるかもしれませんね。目的地への道は、一つではなくて、違う道を通って行っても良いと思います。