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至高の愛の歌

至高の愛の歌だと思う歌。Marc Almond ” My Hand Over My Heart “

昔、「月光」という今でいうBL腐女子系の走りの雑誌があった。行ってた学校の近くにそこの編集にかかわっていた南原企画(だったと思う)というのがあって、友人がそこにちょくちょく遊びにいっていて、なぜかそこに寄らせてもらったことがあった。いかにも出版系のおじさんとお兄さんがいた。そこでマーク・アーモンドのTシャツをもらったことがある。大事に着ていて捨てたおぼえもないのに、なぜかなくなった。

91年の”Tenement Symphony”はなかなか名盤。中でもこの曲は名曲。
Youtubeにマークの映像があって、なつかしくなってまた聞き入った。

My hand over my heart

A heart that’s filled with love

A love that can lift the soul

Divine worship forever Amen

とくに以下が素晴らしい。

There are times spent in despair

That you won’t believe me

So many times I’ve tried to tell you

But my courage deceives me

You have my whole world under your heel

No words on this earth

Can convey the way I feel

Heaven is here

Where I once feared to be

And I fall to my knees

At your beauty

All Lyrics

マークはQueer(おネエman?)として扱われながらも、自分の中の耽美なファンタジーにこだわりつづけた美しい人。無理にあげるなら美輪明宏?日本よりイギリスのほうが寛大ではあろうが、かなりキワモノとしての扱いや誤解などご苦労なさったことと想像する。Mr Beanのローワン・アトキンソンにもものまねされてるし。
2004年にはバイク事故で重体となったのに、1年後にはステージに復帰した。この人はそれほどまでに、ただ歌いたいのだと思う。

魂を引き上げる愛、跪く美。これほどまでに愛してみたいし、愛されてみたい。
でも、あなたの美はひざまづくほど美しい、とたたえるこの歌は、ほんとうは自分自身に向けられるべき歌だと思う。自分をこれほど愛せたなら、すべての他者が愛おしく思えるだろう。

私が個人的に感動したのはこの2007年のライブ映像。
マーク49歳。ちょっと老けたけど、相変わらず驚くほど美しい声です。ほんと、歌い続けてほしい。

短歌 みもだえ

平らかにありたしかくも身もだえす身の上なるかうつむきて寝る

うねくねりあげく途切れぬ鉢植えの万年竹はわれの煩悶

咲かぬまま花瓶の中で朽ち果てつ蕾(つぼみ)いかにか口惜しからむ

短歌 坐禅の分子生物学

坐りをる吾(あ)の丹田に満ちくらむ 分子レベルの闇しづかなる

核内のmRNA起動せよ 吾の不甲斐無さ喝破するため

短歌 はつぐるい

官能をうたう映画の初回朝 初老男女の独りが集う

君に告ぐ物狂おしさ腹ばいのまま訝(いぶか)りし君恨めしき

むかひあひ美しくなれりと君のいふ その日に紅(あか)きつぼみひらきぬ

蒸す朝に蕾ひらかず腐りおち ただじりじりと身悶えている

短歌 春に狂ふ

くるおしくいまひらく花白のなか 紅が混じって春に病んでる

一匹の飼い馴らせない雌の棲む 我が身のうちに爪立てるなり

子らよ見よ庭の片隅身のうちの 歓び恥じず咲かすなり合歓(ねむ)

吾(あ)もかつて獣なりにし如何やふな 夕暮れ見しか遺伝子にきく

どうみてもありえないのに道端で つまづくように愛してしまった