けものより来たりしやまい流行れどもわれ関せずと花の咲くなり
宿主から追い立てられしウイルスにSTAY HOMEと叫ぶむなしさ
コロナとは太陽の冠かがやける春の唸りを横目に過ぎる
けものより来たりしやまい流行れどもわれ関せずと花の咲くなり
宿主から追い立てられしウイルスにSTAY HOMEと叫ぶむなしさ
コロナとは太陽の冠かがやける春の唸りを横目に過ぎる
昼が来てまた夜がきて朝になりわたしのこころも呼吸している
あさつゆのみずみずしさのきもちなるとうにわすれしものとおもへど
永遠に朝の来ずともわがいのち闇にひそかにうごめいている
クレマチス言葉にならない思いならすべてこの世の果てへと投げて
鍵をかけ心の奥に閉じ込めた言葉と気持ちが錆びついている
きみの声がわれの氷を溶かすとき濁流のごと流れだすもの
青く固い割りたての竹で書いたよな 愛のことばを手にして眠る
花曇り混ざりつづける色十色 終わらぬ午睡 終わりなき夢
なにもかも曖昧なままひっくるめ愛していたい春のありよう
–
うしなへど我関せずと藤の咲く
おしみなくさらけだすよにやえざくら
花冷えに咲き急ぐなよはなざくら
溜めてきた怒りを噛んで花の塵
何もかも落花のなかに棄ててゆく
もののふに追いつめられる夢を観て飛び起きていま春の雨のなか
生ぬるい空気に向けてもやもやと蹴り出した足をまた引っ込める
差し迫る危機もさしたる意味もなくただ生きている春のただなか
冷笑がpandemicな世の中で熱を探して手探りしてる
ひとつずつわたしに押した刻印の痕をなぞってあなたを感じる
残響を覚えておいて外耳道誰の声かがすぐわかるよう
唇と皮膚の境に残された余韻の中で夢をみている
Morondava, Madagascar Dec 2011