精神病院を舞台にした演劇、「精神病院つばき荘」を観てきました。結果、号泣してしまった。やっぱりちょっと精神状態が繊細なのかもしれない。隣の人も少し泣いてたけど。
https://stage.corich.jp/stage/96538
以下ネタバレです。
精神科医院長が院内で発言力のある長期入院の患者のもとに、頼みごとがあると訪れる。最初は腰低く、懇願しながら、そして次第に恫喝し脅迫しながら、病院の存続に協力してほしい、貴方だってこの病院以外に出されたくないでしょう、もう家のようなものでしょう、と。その理由とはー。
現実にはまずないシチュエーションですが、精神科医の無茶苦茶さとか、患者さんのまともさ、しかし追い込まれて症状が出てしまうあたりとか、言うこと聞かないから隔離とか、精神的なリアリティがすごい。引き込まれてしまいました。
あなたは院長なのか、医者なのか、それともあなた自身なのか?ーと問われて次第にアイデンティティを失っていく院長。
原発事故と絡めて、反原発の団体と思われたら病院はなくなるとか、最後、院長が贖罪の意識から狂気に落ちていくあたりとか、いやむしろ正気になっていったのかとか、一体誰が患者で誰が病気なのか、誰が正気なのか、混沌としていって、最終的に残るのは、願いと、本当の「名前」であるという。
どんなおかしな精神科医も、悲惨な世界を変えたいという願いが少しはあったと思う。しかしあまりの世界のおかしさ、悲惨さに、力尽きて、願いを抑圧したり、鈍くさせたり、適応したりした結果、ねじ曲がってしまって抑圧側に回ったんじゃないかなと思ったことが何度かある。精神病院というところは、職員も患者さんも生き抜くために、ごくナチュラルに抑圧と服従が起こってしまう構造を持っている。今はだいぶ変わったと思いたいですが。
演劇を観てて、自分の中に精神病院にいつづけられなかった罪悪感がすごくあるんだなと気がつきました。
役者さんたちも凄い迫力でした。
お風呂椅子くらいの小さな椅子に座って舞台まで10cmの、ゴールデン街のちっちゃい劇場。帰りはどこもカフェが空いてなくて仕方なくお友達と昼飲みに入ったら席狭くて高かった。新宿魔境あるある、を満喫しました。せっかくならゴールデン街で飲みたかったかなー。
#精神病院つばき荘