東京、コロナ、女子、雑感

もう言っても詮ないことなんですけど、東京都の1日あたりPCR検査可能件数(地方衛生研究所・保健所の分)、ずーっと220件なんですよね(厚労省サイト参照 )。 4/8の検査件数が394件になっているので、感染研、検疫所、民間検査会社(SRLとかの)、保険適用できる指定病院、大学は含まずの数字で、含めると今13-400(4/3が最大で557件)やっている。まあ急に保健所や衛生研究所の手は増やせない、のもわかるけども。

東京都3月前半はまだ陽性率が数%で、3月後半から10%超えだして、4月に入り週間陽性率で35%くらい。4/8の検査実施人数が366人、陽性患者数が144人なので40%ほど。感染者数が小さいうちはクラスター分析一筋での対応は意味があったと思いますし、3月前半でPCRをガンガンやる妥当性はそんなになかったと思いますが、今はもう十分に検査前確率高いと思う。こうなる前に検査能力増やしておくんだと思っていました。でもそれが難しかったんだなあと。

ひとたび東京で多発したら、人の出入りも多いし、追えなくなるシナリオは当然専門家の人たちの頭の中にはあったと思う。で政治と行政がオリンピック開催に主眼がいって、またヨーロッパよりは拡大スピードが遅かったのもあって、あのようにはならないほうのシナリオになんとなく賭けちゃったというのもあると思うけど、それにしても、1か月ほど猶予があり、またたぶんこういう事態も予想はしていただろうに検査能力(検査数ではなく)増やせなかったことが、本当に日本や東京の政治や行政システムの限界なんだなあと思いました。どういう経緯で決定がなされていったのか、空気も含めて知りたいけど、どうせよくわからないんだろうな。

ハードな現場だから完璧な道具になれる人しか要りません、という医療現場や国家・地方公務員や、日本の企業の仕組み。「献身の美徳」を報酬に、道具にした人たちを使いつぶして、代わりがいなくなっても、そもそも交代要員になりえた人はもう門前払いしてしまっている。医大の女子受験者差別問題とか、こういうところにつながっていると思うんですよね。女子でも子育てしても働けて、いざとなったらひと肌脱ぐか、と出てくることができるような仕組みに変えられないものか。

思わずこのツイートに共感してしまった。

もし認識が違っていたらすみません。なんか我慢できなくて書いてしまった。きっともっとよく内情を知っている人もいると思うし、そうはいってもね、のことがたくさんあるでしょう。

医療者も保健所も厚労省も専門家会議の人たちも、もうみんな死にそうになりながらやっていると思います。それはほんとうにリスペクトです。政治家はもうちょっと考えてほしいが、でも彼らも各所調整の上で一生懸命やっているつもりなんだと思う。何がだめなんだろうか。やっぱり、大事な価値がなんなのか、どれをとるのか。みんなでできるだけ生き残ろう、なのか、弱かった人、運が悪かった人、愚かだった人は自己責任、なのか。もうちょっとどういう社会にしたいか考えたほうがいいんじゃないだろうか。それをしないと政権変わっても同じなような気がする。

あと、これも共感だ。

こんなこと言ってても事態が解決するわけでもないけど、もし効果的な治療法ができたらあのときは大変だったね、でみんな忘れてしまうのかもしれないので(今までのように)なんとなく今のうちに吐き出しておきたく。

前線の医療者や公務員の人たちやそれぞれの持ち場で人々を守ろうとしている人たちにはほんとに感謝と敬意を捧げます。

【追記】
こちらの提言にはとても妥当性を感じる。しかしFacebookでも出てこないし見たことないけどなあ。

(1)PCR検査の適応を一般の医療機関の医師に判断させる。
(2)休校中の公立学校校庭などをテストサイト(検査場所)とするか、または医師会指定の輪番医療施設などを利用して、PCR検査を実施する。
(3)軽症者の感染症指定医療機関への無断受診は原則禁止として、地域の医師会が指定する輪番医療施設に受診するか、オンライン診療を提供する。医師によるPCR検査や抗体検査の適応指示もオンラインや電話診療等で可能とする。
(4)ホテルや選手村などを改造して医療管理可能な施設とし、指定医療機関に入院中の軽症者をそこに移す。
(5)PPE(マスク、ゴーグル、ガウンなどの感染防護具)を迅速大量生産する。

(4)は一部達成。でもとにかく喫緊は(1) と(5)だ。

提言の実際の文面はこちらのようです。

「COVID-19対策への緊急提言」

東京の医療現場は今、大変な状況下にあります。危機管理とは「最悪の事態も想定して準備すること」です。東京でこのまま指定医療機関に患者が殺到すると、本格的な医療崩壊になります。

PCR検査が重症者と濃厚接触者に事実上制限されているため、実際の感染者数を過小評価しています。検査されていない軽症者や無症状者はかなりの数おり、隔離せずに感染が拡大していると考えられます。感染者が増えると、その中から重症者が出てきます。

医療機関やテストサイトでのPCR検査のオーダーは現場の医師の判断でやらせてください。この病気は届け出対象なので、陽性ならばすぐに届出ができるようにすればよいのです。検査の適応を判断したらテストサイトへ送れるようにしてください。

PCR検査を行うテストサイトは、休校中の都立学校の校庭などに設置すればよいと思います。テストサイトは、地域によっては、医療機関の輪番制で、その当番日のみ特別にテストのみの診療業務を行うこともできると思います。医師の簡単な問診で適応を判断し、検体採取の担当は地域の医療者だけでなく、医療者ライセンスを持つボランティアと自衛隊にも依頼すればよいと思います。

また、至急、病院での急性期ケアが済んだ軽症者を全員、ホテルや選手村を改造し、医療管理が可能な施設として、そこに移してください。自衛隊などの応援要請も必要となると思 います。

患者の爆発的増加に対応するため、オリンピック会場などをシェルター病院に変換してください。中国からの参考資料として、中国のシェルター病院「鍵と機能」があります (Lancet誌より)。これは、3つの鍵(迅速設置、巨大スケール、低コスト)と5つの機能(隔離、トリアージ、基本的医療、頻回モニタリングと迅速な患者搬送、基本的な社会生活の環境設置)です。

最後に、最も重要なことですが、PPEの迅速大量生産を⺠間に依頼お願いします。これは医療者を助けます。

トリアージ案:

(1)無症状者は自宅またはホテルや選手村等の施設

(2)軽症者はモニタリング可能なホテルや選手村等の施設(可能であれば、医療が必要な中等症者はシェルター病院)

(3)ICUケアやハイレベルケアが必要な重症者は指定医療機関(回復したらシェルター病院やホテルへ)